1970年頃までの免疫の概念は、"非自己に対するシステム"として免疫を捉えることであった。自己に対する免疫は、アプリオリに禁止されるべきものと考えられていた。しかし、その後の免疫学の根源的な問いかけは、自己と非自己を区別するものは何か?非自己の侵入に対して自己はいかなる挙動を示すのか?という方向に大きく転換した。"自己に対する寛容とその破綻"という、免疫学のもうひとつの根源的な問いかけも、免疫システムを構成する数多の蛋白がクローニングされ、その機能が分子レベルや遺伝子レベルで解明されつつある今日でも、未だ新鮮な命題であり、多くの若い研究者を魅了してやまない。本書はそのような、21世紀の免疫研究をリードする若い力の輩出も念じつつ、編集された。実際、本書は日本が誇る一流の免疫学の研究者に執筆をお願いし、現代臨床免疫学における潮流を概観できる内容になっている。
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