1986年11月24日と25日の両日、ロンドンにおいて、英国「地球の友」「グリーンピース・インターナショナル」が後援者となり、わが国では例をみない「電離放射線の生物効果」に関する国際会議が開催された。原子力による放射線被曝を規規制する立場にある推進側と、原子力に反対する立場にある側とが一堂に会し、一般参加者にも討論への参加を保証するという「開かれた」会議であった。本書はこの会議の全容を伝える貴重な記録であり、近年激しい論争が続いている低レベル放射線の影響について、各界の学者らが主張する知見と、それをめぐる白熱の討論によって構成されている。広島および長崎の原爆被曝者に関する追跡調査と再解釈、ウインズケール周辺で多発する小児白血病、チェルノブイリ事故の影響など、いずれも看過できないテーマばかりといえよう。われわれの生命が今どのような状況にさらされているのかを、客観的、科学的に考えるための問題提起の1冊。
「BOOKデータベース」より