分裂病についての研究は、これまでさまざまな角度から精力的に行なわれてきたが、今日にいたるも、依然としてその全貌は明らかにされていない。一臨床医として、多くの分裂病者と接してきた著者は、彼らに認知障害や過覚醒、常識と共感能力の欠如、また自我境界の曖昧さや時間性の病理など、いくつかの印象深い特性を見出す。そしてそれらを症状論的に列挙することによって、彼らの全身像を描き出し、さらに近年発展した精神生理学や実験心理学の成果を取り入れて分裂病者の輪郭をより鮮明に浮き彫りにしながら、その治療と接し方への方途をも示してゆく。
「BOOKデータベース」より