回遊魚は卓抜した遊泳能力をもち広く海洋を移動し、また海水、淡水など異なる環境を行き来するため、浸透圧調節、生殖、行動などにおいて他の動物にみられない種々の特性をもっている。これらの特性について調べ、明らかにしてゆくことは、基礎生物学の立場からは生命現象を理解する上できわめて有効である。ここでは、回遊魚の研究の新しい展開のための一里塚として、近年の研究成果をふまえ、魚類の回遊現象に焦点をあて、内分泌学、生殖生理学、動物行動学、および水産学の立場から、分子レベル、細胞・組織・器官レベル、そして個体レベル、さらには系統発生のレベルでの最新の知見を紹介してあるる。
「BOOKデータベース」より