ヨーロッパを中心とした世界的な移民排斥運動が活発化する一方、カナダでは国民の20%を超える移民が暮らし、イヌイットなどの先住民も包摂した多文化主義政策が国際的にも高い評価を得ている。それは、ネイティブや移民を問わず高い教育水準を維持し、様々なバックグラウンドを持つ者たちの「共生」をもたらしてきたカナダ独自の多文化教育政策の貢献によるところが大きいことは言うまでもない。こうしたカナダの多文化教育の実態を理論・制度・政策・実践という多角的視座から分析し、その特徴と本質を描き出す本書は、移民に対するあらゆる制度改革に消極的なわが国にも重大な示唆を与える、まさに時宜を得た研究である。
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