樹木は人間と、自然、神とを結びつけるものであった。世界最古の文学『ギルガメシュ叙事詩』には天を衝き抜くようなレバノン杉の森が神々の世界とされ、ウェルギリウスの『アエネーイス』の主人公も森の不思議な力に魅了され、南アジアの叙事詩『ラーマーヤナ』でも森が重要な空間となっている。大英博物館所蔵の樹木の標本帳や標本箱、スケッチ、水彩画、工芸品などを通して、われわれの歴史に樹木がいかに重要な意味を持ってきたのか、科学と芸術、旅行と交易、詩文と散文、神話や宗教など、裾野の広い文化史の一部として読み解く。
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