民主主義の「危機」が、メディアその他で喧伝される現在。しかし、その「危機」論のほとんどは一部の特異な事例に基づいた印象論であり、冷静な実態の検討作業は驚くほどなされていない。それに対して本書では、世界30カ国以上で行われた調査データの詳細な国際比較分析をもとに、民主主義の基盤を揺るがすと言われる人々の意識や行動の変化についての再評価を行った。各国の個別状況にとらわれず、同時に過度な抽象論に陥らない視座から、民主主義の「危機」論の虚実を暴くとともに、安易に「危機」をあおる論調へ警鐘を鳴らす。
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