人類の歴史は自然からの制約によって形づくられてきただけではなく、自然を変える行為の積み重ねでもあり、その自然改変の結果がさらに社会に影響を及ぼすという、相互作用の帰結であった。人類史が人びとの頭数の増加の歴史であるならば、人口増加とともに森林面積は減少する。それどころか乱伐にいたった時代も何度かあった。しかしなぜその減少が必ずしも「森林崩壊」には直結しなかったのか。日本列島は、先進国では珍しく緑豊かで三分の二は森林に覆われている。その日本列島を対象に、国家の営為と市場の役割に焦点を合わせ、いかに森林は保全されてきたのかを解き明かす比較環境史の試み。
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