すべての人間は、生まれながらにして決して奪いえない天賦の権利を有する-こうした自然権の思想は、19世紀に出現した歴史主義により徹底的な攻撃にさらされた。正義が自然に基礎をもつとするこ の思想の否定こそが、20世紀における全体主義の台頭をもたらしたのである。自然権は擁護されなければならない。では、その可能性はどこに求められるべきか。本書では、「自然の発見」という哲学の営みの根源にまで立ち返りつつ、古代ギリシアから現代にいたる思想史を大胆に読みなおす。万人の自由と平等をうたう近代的理性それ自体の問題を浮き彫りにした、20世紀を代表する政治哲学者の主著。
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