柳田國男と同時代に活動しながら、いわゆる正統な学者たちが避けたテーマへと果敢に分け入った「異端の民俗学者」中山太郎。主著となる本書を含め、その著作群は一見どぎつい題材とは裏腹に、史料考証を積み重ねたものである。不特定多数の男女が交わりあう各地の神事祭典や各種乱婚・貸妻制など、具体的で膨大な習俗を挙げつつ売買春発生の背景を考察。奈良時代以前の巫娼、平安の浮かれ女、鎌倉の白拍子、室町の辻君と、歴史を追って、つきせぬ情熱で売買春の諸相を総覧する。長らく入手不可能であった幻の書の文庫化。
「BOOKデータベース」より