ヨーロッパ冷戦を象徴する「ベルリンの壁」が建設されたベルリン危機(一九六一〜六二年)から、人類が核戦争の深淵を覗いたキューバ危機(六二年十月)、そして一定のデタント状況を達成した部分的核実験禁止条約締結(一九六三年八月)に至る国際政治過程において、アメリカの新大統領ケネディは、ソ連の指導者フルシチョフが続けざまにもたらす危機にいかに対応・交渉し、どのような決断をなしたか。アメリカの対ソ政策の展開を中心に、ソ連と中国、東ドイツなど東側陣営内の動向にも目を配りながら、「危機の年」における米ソ両超大国間の関係と、アメリカとイギリス、フランス、西ドイツ、NATO小国など西側同盟内の政治力学、さらに第三世界各国の動きを活写し、それが冷戦史の展開の中でどのように位置づけられるかを分析・考察する。
「BOOKデータベース」より