全世界185万床の約5分の1、実に約35万もの病床を保有する日本の精神医療。脱収容化が進む先進国の中にあって、なぜ日本だけがこれほどまでの病床を保有し続けているのか。あまりにも多い病床を埋めるべく、「寝たきり」ではなく「寝かせきり」にされる世の認知症高齢者たち。そして、病院の経営維持のため長期入院を強いられ、人生そのものを台無しにされた、夥しい数の「入院加療の必要のない人びと」。先の大震災では、多数の高齢者の死や1カ月にわたる遺体の院内放置など、改めて精神医療現場の杜撰な体質が浮き彫りとなった。患者の人権を無視した日本の精神医療が抱える"病巣"に鋭く切り込んだ一冊。
「BOOKデータベース」より