旺盛な執筆活動の一報、言語と映像の弁証法という視点からリアリズムや記録芸術に取り組んだ安部公房は、その最盛期を、勅使河原宏監督とともに駆け抜けた。原作者・脚本家としての安部公房と解釈者・映像作家としての勅使河原宏。彼らがのこした作品(小説・シナリオ・映画・写真・絵画)を、協働(コラボレーション)の角度から多面的かつ往還的に読解していく。安部公房研究にまったく新しい視点を投げかける意欲作であるとともに、モンタージュ論、ドキュメンタリー論など、映像論、映画論研究のうえでも、重要な著作となる。
「BOOKデータベース」より