本書の真髄は、戦後の民主主義発展という歴史を背負って黎明期から調査関係者をリードし、調査の理論と実践を知り尽くした著者の「実践的調査理論」にある。この歴史と理論と実践が三位一体となり、現実の社会の課題解決のための研究が可能となったのである。今日、調査協力率の低下や回答者への接触の困難など調査環境悪化とともに、調査方法自体も質の低下が著しい。それにもかかわらず、「世論調査」が不当なほどに力をもつようになってしまった。本書にちりばめられた教訓を今一度、噛みしめる時である。
「BOOKデータベース」より