日本では1998年以降、年間自殺者数3万人台が続いている。自殺は、残された遺族や親しい人々に深刻な心理的打撃を与え、死にゆく人3万人の問題にとどまらない。自殺はまさに他人事ではなく、社会全体で取り組むべき課題なのである。本書では、ライフサイクルに従い、学校、会社、地域といった社会のさまざまな場所で、学生、働き盛り、高齢者等さまざまな年齢層の自殺を予防するために、どのような取り組みがなされているかを詳述する。さらに、自殺の危険の高い患者の治療にあたる際の精神療法的アプローチについて、また自殺が起こってしまった際の遺族、そして援助者自身のケアについても丁寧に解説した。精神科医、看護師、臨床心理士、ソーシャルワーカー、教師等、現場で自殺の危機と向き合い、未然に防ぐべく奮闘している援助職に必読の書である。
「BOOKデータベース」より