古来より東洋には、人間の生きかたについて西洋とは幾分異なった理想像があった。それは、一言で言えば、「無為自然」である。そこには、自己の作為や分別を否定して自然に従うという共通した価値観が見られる。しかし、同じく「無為自然」といっても、その内容は各々の思想家によって微妙に異なってくる。また、同じく作為を否定し、分別を否定するといっても、その中身はまったく同じであるというわけではない。そして、そこに各々の思想家の個性と主体性が見られる。本書では、その点を各思想家にあたって詳しく考察する。
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