大正時代は明治と昭和に挟まれた中間の時代と呼ばれるが、それは単なる過渡的中間性ではなく、「能動的中間性」である。著者は、本書第一部に、この中間の時代を象徴する吉野作造の民本主義の盛衰を中心に、憲政擁護運動から、政党政治、教養主義、社会主義、ナショナリズムなどを経て、震災に至る政治思想を描き、第二部に、大正時代の群像からその代表として大杉栄を取り上げ、その生い立ちから、その時代における軌跡を辿り、震災時に虐殺されるまでの数奇な生涯を、思想史的伝記として描いている。いずれも社会心理学的方法と緻密な実証による基本文献である。
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