「われわれ」を守るために「人間」が殺し/殺されていくという矛盾をはらんでいる戦争。過去、前線/銃後の境界を改変しつづけることで成立していた戦時総動員体制のもとで多くの民間人を国家的暴力行為へと駆り立てた"従軍"は、「戦時下」のいまを生きる私たちにどのような内実をもって立ち現れるのか。兵士の後ろから戦場を伝える記者や写真家、前線で「正義」を語る牧師、在日アメリカ軍基地で軍人の夫の帰りを待つ妻、ブラウン管に映る「死体のない戦争」を見る"私たち"…。職業軍人=従軍兵士にとどまらず、すべての人々を直接的・間接的に戦場へと動員する"従軍"の多様な形態を照射して、日常のあらゆるシステム内で作動する暴力の論理に抗するための視座を明らかにする。
「BOOKデータベース」より