20世紀半ば、一人の若きアメリカ人人類学者が、世界有数の大都市メキシコ市に暮らす5つの家庭を対象にフィールドワークを行う。それは、「未開人」を対象とするのが一般的だった人類学を大都市にもちこみ、同時代の問題を直視する、野心的な試みでもあった。その成果は、各家族の一日を「民族誌学的リアリズム」によって再現する形でまとめられ、アメリカで発表されるや大きなセンセーションを巻き起こした。この都市人類学の先駆的業績は、アクチュアルな問題として論争されつづける貧困問題の草分け的存在であり、今日なお、注目されている。
「BOOKデータベース」より