少子・高齢化を迎えた日本社会のなかで、人は子どもを生み、育てることにためらいと、惧れを抱えている。育児不安、乳幼児の虐待、いじめ、学級崩壊、そして「キレ」る子どもたち、子どもが育つ=育てられる環境は、悪化する一方だ。それは、養育者=「育てる者」と子ども=「育てられる者」の関係の悪化でもある。人間は「育てられる者」として生まれ、「育てる者」になるという生涯過程を繰り返す。「育てる者」として成熟するためには、「育てられる者」との相互関係が重要である。「育てられる者」を、一個の主体として、ありのままを充分に受け入れること、そして「育てられる者」からのフィードバックから、子育ての喜怒哀楽を認識すること。関係発達という考え方から子育ての根源を問い直す。
「BOOKデータベース」より