中国の研究者も交えた共同研究の成果である本書は、わが国の文学史研究における「近代への懐疑」という視点、中国における「20世紀の総括」という視点、その双方からこの百年の中国文学史とそれを支えた歴史観に光を当てて、今後の中国文学研究のあり方と方向性を見定める基礎的土台を形成する。資料篇「日本で刊行された中国史」は、明治から現在に及ぶまで可能な限りの書物を収集し、目次と解題を施して、その全貌を鳥瞰できるデータベースを提供する。文学史の問題を超えてわが国における中国観が如実に反映され、広く中国研究や近代史研究にとっても重要な資料となろう。
「BOOKデータベース」より