息をするたびににおいを嗅ぎ、ひと噛みする毎にあじを味わう。においと味は我々の行動に影響し、吐き気や悪心をあるいは快感や生気を生じる。カール・ハインツ・プラティヒは、この二つの感覚がどのように働いているかについて研究してきた。どのように鼻と舌がにおいや味の質を受け取るのか、唾液がなぜ口の中に何度も出てくるのか、においの専門家や味の専門家はどのようにして感覚を訓練するのか、について彼は分かり易くかつ面白く語ってくれる。臭覚障害や味覚障害を煩っているヒトは、その原因や予後についての示唆をうる。人工的な芳香、香料やデオドラントなどで自然のにおいを被い隠している現在の香料世界に対する批判的な見解は、一読の価値がある。
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