本書は、第二次大戦後におけるわが国の再生産論研究の成果と、最近におけるマルクスの草稿研究・『資本論』形成史研究の成果に立脚し、マルクスの再生産論をめぐる史的展開過程を再検討することによって現行(エンゲルス編集)『資本論』の現存の理解を根源的に問いただすとともに、改めて、再生産論の新たな展開方向を探ることを意図したものである。本書では、マルクスの再生産論は、草稿段階においても、したがって、エンゲルスによる草稿編集段階においても「未完成」であることが強調されており、どの点がどこまで未完成かを確認しつつ、現行版『資本論』の再生産論を補充し、拡充しようとする観点から再生産論史の検討がなされている。
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