わが国の医師や看護婦が、感染症を診断治療し感染症患者をケアするといったことは、「科学的」という観点でみれば、欧米に比して遅れているといわざるを得ません。医師や看護婦の能力というよりも、むしろ感染症に対する教育と診療システムに問題があるように思います。本書は上述した2点に主眼をおいて構成を考え、感染症を専門としている医師、研究者、看護婦、および臨床検査技師が執筆しています。感染症に対する基本的な知識はもちろん、実際の感染症診断法、治療法、院内感染防止対策などが詳しく述べられています。とくに院内感染症防止対策については、米国疾病対策予防センター(CDC)の勧告を多く取り入れ、科学的で費用労力対効果の優れた対応が示されています。また、感染症を専門としていない医療従事者にもわかりやすく解説がされておりますので、本書は広くわが国で感染症の「教育」と「システム」の充実に寄与できるものです。
「BOOKデータベース」より