近ごろ話題を賑わせているように、七世紀後半に日本の歌が文字への転換を果たしたことは間違いないと考えられます。そのさいどんな変化が歌や散文に生じたかをわたしたちは見きわめなければなりません。うたわれていた"声の歌"を文字に記せば、それがそのまま"文字の歌"になるというような、文字の世界にとらわれた想像力によってでは解明しきれない文学史上のドラマがそこでは起こったようです。本書に収めた諸論文は、論者それぞれの立場から右のような課題もしくはその周辺の問題について記したものです。
「BOOKデータベース」より