本書では英米すなわちアングロ・サクソン社会の外側に広がる四つの国々-ドイツ、フランス、ブラジル、そしてロシア-で、「優生学」がどう展開したかを示し、それによって従来の、型にはまった「優生学」観に揺さぶりをかけたいと思っている。実際、これらの国では「優生学」は英米とは全然違う展開をしたのである。本書は、ヨーロッパの大陸側と、ラテン・アメリカと、ソヴィエト連邦において、「優生学」を通じて生物学なり医学が社会とどのような切り結び方をしたかを初めて明らかにする試みであり、我々が従来いだいてきた「優生学」観の全面転換を迫るものであり、そしてまた「優生学」の国際的な比較研究の一層の推進を呼びかける試みでもある。
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