本書は、碩学晩年の熟した手つきで、キリストの弟子たちの彫像・絵画が、時代の変遷や各地の交流が密になるにつれてとりどりの変様を示すさまを、一般読者にもわかりやすく説き聞かせてくれるものである。洗礼者の聖ヨハネ、聖ラザロ、聖マリア・マグダレナと聖マルタ、聖ペテロと聖パウロ、聖アンデレ、聖大ヤコブ、聖ヨハネ、聖トマス、それに残りの弟子たち。聖書や『黄金伝説』、種々の聖者伝や偽書を繙きながら、キリストの弟子たちの物語が図像におきかえられてゆくさまを、著者はつぶさに観察する。ヨーロッパの教会や美術館にある多くの宗教美術の謎が、たちどころに明らかにされる。
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