もしもこの課題が、人は死後も生きているという証拠を広く検討することだとするならば、最も証拠となりそうな有望な領域は、研究者が「臨死」体験と名づけてきた領域、すなわち、臨床的には死んだ状態に陥いりながら、なお生き返ってその体験を語った人びとの回想ではないかと思われた。おそらくこうした人たちは、完全に死んだわけではないから、表記上は「近似」死者と書くべきであろう。だが、より深い疑問はこうした人たち、あるいは歴史を通して同じような主張をした人たちが、はたして本当に死んだ後の世界をかいま見たり、体験したのだろうか、という点である。
「BOOKデータベース」より