アルフレッド=ミュッセは、ラマルチーヌ、ヴィニー、ユゴーと並んでフランス・ロマン派四大詩人の一人で、ロマン派の中でも一番「ロマン派的」な詩人だった。「愛したあとで、絶えず愛さなければならない」と歌った詩人にふさわしくその生涯は華麗な女性遍歴に彩られている。とりわけ、パリで花咲きヴェネチアで散った男装の麗人ジョルジュ=サンドとの「世紀の恋」は文学史上あまりにも有名である。青春と恋愛の哀歓をせつせつと歌い上げた名品を数多く残す一方で、『戯れには恋はすまじ』『マリアンヌの気まぐれ』など優雅で洗練された戯曲も書いた。その芝居は今なおしばしば上演されている。本書は、そうしたミュッセの活き活きとした真の姿を描こうとした、待望久しい、わが国で最初の評伝である。
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