巨匠が描く三部構成の物語。第一部は、新人作家ヴァランタンの視点で描かれる。社交界とマスコミ、そして有名無名の作家、批評家たちがうごめくパリの人間模様…もちろん上流夫人との恋愛も。しかし、十九世紀小説のような物語は、読者の予想を裏切る展開でいきなる幕を下ろす。そしてミステリの手法を取り入れた斬新な第二部が始まる。無名の作家は皮肉にも死後人気作家になっている。語り手は、甥のアドリアン。彼は叔父の評伝を書くために第一部の登場人物たちを訪ね歩き、天才作家の虚と実の間を揺れ動く。そして最後に、鮮烈な第三部が待ち受けている。
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