先進諸国の農業政策は大きな変革期のなかにある。変革のプロセスはけっして平坦なものではない。むしろ、次から次へと立ちはだかる難問への挑戦の連続である。けれども、先進国の農業政策は着実に変化をとげている。日本の近年の農政改革の動きも、多くの面で先進国の農政改革のうねりと重なり合っている。農業政策のあり方についてはさまざまな意見がある。しかしながら、いかなる立場をとるにせよ、農政の国際的な動向を無視することはできない。説得力のある議論を構築するためにも、各国の農政の動きを把握する作業が不可欠である。こうした作業は農業政策の専門家に必要なだけではない。およそ食料と農業と農村の問題に関心を持つ人々にとって、先進国の農政の動向はいわば必携の情報である。このようなニーズに真正面から応えてくれるのが、本書である。
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