山中恒 文 ; 木下晋 絵
ハルは海辺の小さな村に生まれた。「おや、ほくろのあるいい手じゃ。きっとこの子は器用だし、幸せになるよ」とハルの手をみて、みんながいった。ハルは小学生になった。手を使うことならだれにも負けなかった。折り紙でもお手玉でもあやとりでも。みんながハルの手をうらやましがった。ハルが15のとき、戦争で父さんが死んだ。まもなく母さんも病気で亡くなった。ハルは男の人に交じって必死に働き、家族の生活を支えた。そんなハルのただ一つの楽しみは、年に一度の盆踊りだった。
「BOOKデータベース」より
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