"宗教的なるもの"の本質は、いったい何なのだろうか。人びとは生と死、罪や業からの苦しみを、どのように乗り超えるのか。本書は、仏教が説く解脱にいたる思想やキリスト教の赦しの概念を、"帰依の宗教"と"信仰の宗教"という性格づけから考察する。古代人が感じとった"大いなるもの"への畏怖と帰一の心情は、歴史を超えて、いま、人びとにどのような救いを与えるのか。気鋭の哲学者が自らの宗教的体験をとおして、無常観や死生観に根ざす人間の心の闇を見つめ、彼方に見える生命観を見出そうとする。
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