衣料のカタログ販売会社、キリブルー商会は、事実上、副社長のジュニパーが経営にあたっていた。というのも、彼女の叔父で社長をつとめるサムが、父から譲り受けた会社の経営に少しも情熱を抱いていなかったからだ。春のある日、社員はじめ関係者を招いて毎年催されるチューリップ祭りが今年も開かれていた。主催者代表として、出席者の顔はまず知っていると思っていたのに、ジュニパーは見かけない男の姿を目にした。細身のジーンズがよく似合っているスリムな彼は、どうやら、叔父の友人らしかったが…。
「BOOKデータベース」より