本書の叙述の中心は、1987年に成立し1945年に崩壊した「ドイツ帝国」の歴史であるが、どちらかといえば一般読者向けの、いわば「望遠鏡を通して観察した」軽いタッチの通史として意図されている。著者は、ヴァイマル共和国期からヒトラーの政権掌握、さらにナチ体制の前半を身をもって体験している。青年時代のこうした体験を踏まえ、またこれまでの多年にわたる研究の成果をまとめあげながら「ドイツ帝国」の歴史を「回顧」したのが本書であって、あわば著者独特の「ドイツ史観」の集大成となっている。
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