日本人の多くは自分を「無宗教」だと思っているだろう。ましてや神道の信者だと思うことはまずない。しかし第三者の眼を通して見ると、いかに日本人の日常や人生が、神道と不可分の関係にあるかがよくわかる。初詣や七五三、祭りといった行事はもちろんのこと、白木を美しいと思い、水や塩で身体や場を清めるという感覚も神道と切り離すことはできない。逆にこうした日本人独自の感覚こそが神道を生み出したのだとも言いうる。経典もまとまった教義もなく、国の政策によって「宗教ではない」とされたがゆえに見えにくくなってしまった神道の真の姿を、比較宗教学の権威が余すところなく解き明かす。
「BOOKデータベース」より