新宿駅西口地下。都庁へ向かう人の流れのかたわらに、段ボールのかたまりがいくつも並んでいる。通称「段ボールハウス」、ここに暮らすホームレスたちの住処である。二十代の青年、元ゲイバーのバーテン、寿司屋の職人、元タクシーの運転手、大学中退の読書家…。ホームレスという一言ではくくりきれないほど多様な人びとが、ここで奇妙に自由で気ままな暮らしを営んでいる。彼ら一人一人の日常生活を見つめつつ、その喪われた過去の人生と、いま彼らが向き合っている冷徹な現実の肌ざわりまでを描写する。
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