高野山の「奥之院」には、歴史上に名を残した数多の偉人の魂が祀られている。その供養培の数は実に数万基にも達するそうだが、特に多いのが織田信長・明智光秀・武田信玄・上杉謙信といった、いわゆる戦国武将を祀ったものである。その名を聞けば歴史に詳しくない人でも知っているような著名な人物たちである。生前、敵として戦ったり、殺したり殺されたりした間柄の人物が同じところに祀られているのだ。主義主張も信仰していた宗派も違った人々の供養塔が、なぜこのようにひとつの場所に集まっているのか。なぜ高野山だけが全国各地の寺院の中で、特別な存在なのか-。
「BOOKデータベース」より