外傷後ストレス障害(PTSD)は、おそらく他のどの精神障害よりも、心理的ならびに生理的反応の密接な相互依存性を示している。本書は、生物学的視点と精神分析学的視点の双方を統合して取りあげた画期的な著作であり、その内容は現在も臨床家や研究者に多大な影響を与えている。トラウマ治療の根幹として、トラウマ体験に焦点をあてた治療が真に効果があるのか、ではPTSDの精神療法においてトラウマ体験をどのように扱うべきなのか、社会的支援のあり方とは何か、暴力の世代間伝達としての家族内トラウマ、さらに、ナチス強制収容所の生存者研究の結果が例としてあげられ、極限状況の中で生き残るための集団の役割が詳しく解説される。
「BOOKデータベース」より