『現代代数学』、『群論と量子力学』等の名著によって現代数学の第一人者として知られる著者の手になる本書は、現代科学文明への批判を内に秘め、思想史や文化史における数学の見失われがちな意義を強調しつつ、一般読者のために、古代、特にギリシア数学史を展開した書である。
「BOOKデータベース」より
古代ギリシア人が遺した最も美しいもの、それは疑いもなく彼らの芸術作品にちがいあるまい。だが科学技術の時代に生きるわれわれにとって最も重要なギリシア人の遺産は、精密科学=数学であろう。数学的精神の誕生とそれにもとづく科学の成果は人類文化史の単なる添えものではなく、まさにその主要な一章を占めるのである。『現代代数学』、『群論と量子力学』等の名著によって現代数学の第一人者として知られる著者の手になる本書は、現代科学文明への批判を内に秘め、思想史や文化史における数学の見失われがちな意義を強調しつつ、一般読者のために、古代、特にギリシア数学史を展開した書である。ユークリッドの『原論』にみられるギリシア数学の、あの感嘆すべき完全性、厳密性という美はいかにして生まれたか?エジプト、バビロニアに始まった数学が、ギリシア都市国家の日常生活やアレクサンドレイア、シュラクサの宮廷文化を背景に、哲学・思想・天文学と結びついて黄金時代を迎える過程がここに見事に描かれている。本書に生き生きと再現された古代の数学的創造の息吹きは、現代の数学者にも示唆するところが大きいであろう。
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