人類の活動による大規模な環境変動は地球の姿を変え、地質学的に新たな時代「人新世」に突入している、ノーベル賞受賞科学者クルッツェンはそう述べた。21世紀に入り分野を越えたホットワードとなったこの概念は、あらゆる側面で現実の捉え方に再考を迫っている。近年思想界において登場した思弁的実在論や新たな唯物論といった議論も、こうした潮流と無関係ではない。本書では、人新世という概念や現代の思想潮流を全面的に引き受け、思想の更新を図るとともに、新時代における「人間の条件」をアーレントを手掛かりに探ってゆく。人間と自然が溶け合う世界の本質に迫る、著者の飛翔作。
「BOOKデータベース」より