生まれたての息子を自転車の前の郵便袋に入れ、馴染みの飲み屋をめぐって友だちに見せびらかして歩いた父。ツール・ド・フランスさながらの酒飲みレースに夜な夜な血道を上げる呑んだくれの叔父たち。甲斐性なしの息子どもを嘆きつつ、ひとり奮闘する祖母。ベルギー、フランダースの小さな村での、貧しく、下品で、愛情にみちた少年時代。最初から最後まで心をわしづかみにして離さない、びっくりするほどチャーミングでリリカルな、フランダース文学の俊英による自伝的物語。金の栞賞、金のフクロウ文学賞読者賞、高校生によるインクトアープ賞受賞作。
「BOOKデータベース」より