地図を片手に戦国の城を調査するとき、すぐそばまで近づいていることがわかっていても、城山への入り口がわからないということが結構ある。そのようなとき、近くで農作業をやっている人に「○○城はどう行ったらいいですか」と道順を尋ねるが、道順を教えてくれたあと、「でも、行っても何もないよ」という付け加えの一言が必ずといってよいほどある。「何もない」という意味は、近世の城のような天守や櫓などはないという意味で、「行ってがっかりするな」と親切に教えてくれているわけである。しかし、その「何もない」とされる戦国の城が、実は、歴史研究の宝庫だということを多くの人にわかってもらいたいとの思いで本書を書きあげた。
「BOOKデータベース」より