著者は、心理臨床、とくに「夢分析」として知られる心理療法の最前線で活躍するセラピスト。クライエントが報告する五万例近くにのぼる夢に接してきた経験を基に、「無意識世界を知るための最も有効な心理学的手段」としての夢理解について分りやすく論述する。臨床心理学・精神分析における従来の説明や方法論を批判的に検証し、夢分析に対する誤解を解き、夢分析とは何か、心理療法として夢分析はいかにあるべきかを問う。クライエント川辺恵理子さん(仮名)のケースを中心に実例を数多く紹介し、夢がもたらす深い意味について、また人生のあり方について考察。心理臨床の関係者はもとより、心の問題に関心ある一般読者にも、心の深層あるいは「こころの不思議」、「私の中の/私を超える/私ならざるものの大きな働きや存在」を理解する上で、示唆的な一冊となるであろう。
「BOOKデータベース」より