「どうだい、ボガート?」-トリニダードの下町の一角ミゲル・ストリートでは、呑気なハットの挨拶で今日も一日が始まる。「名前のないモノ」ばかりつくっている大工、「世界で一番すばらしい詩」を書き続けている詩人、実は泣き虫のボクサーに、いかにもうさんくさい学者先生…「いつだって夢想家」の住人たちはみな、風変わりな、でもちょっと切ない人生を懸命に生きている。ノーベル賞作家ナイポールの事実上の処女作、約半世紀の時を経て日本に初登場。行間に漂うあたたかなユーモアとペーソスは、巨匠の知られざる魅力を存分に伝えてくれる。
「BOOKデータベース」より