隠退した名探偵リングローズはイギリス海峡に面した旧領主邸ホテルに招待された。ところがその夜、彼の耳に闇をつんざく幼児の悲鳴、恐怖のどん底におののく、いたいけな叫びが聞えてきた。生来子供好きのリングローズは事情を調べようと思って翌朝ホテルの中を捜してみたが、それらしい子供は見あたらなかった。声は確かに聞えたのに、その声の主はいないのだ。すると、不審の念にかられたリングローズに、同宿の老婦人が説明してくれた-その子供は亡くなったのですよ。このホテルで一年以上も前に、と。名作「赤毛のレドメイン家」と並んで推理小説史上に、不滅の光茫を放つ傑作。
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