私たちが、「原発ノー」と言い、これ以上のエネルギー浪費を押しとどめようと決意し、そのための実行をするかぎり、原発は存在理由を失います。原発は、私たち自身の生き方を根底から問い、地上のすべての事態に対して、決定的な転回を迫らずにはいないのです。これこそが、九州に始まり、四国に及び、いま、泊原発、幌延の廃棄基地の予定地をかかえる北海道をも一つの焦点として包みこんで、日本の全土に、広く深く巨大なうねりとなりつつある人間のエネルギー、いのちの尊厳の自覚の高まりだと言ってはいけないでしょうか。まさに、「原発ありがとう!」と逆説したくなる事態を、人びとは自分の内部に敏感に感じとり、ききとって、生き、行動しようとしているのです。
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