バレリーナとして踊ることが人生のすべてだったクリスは、怪我で1年間の休養を命じられ、沈んでいた。病院帰りに姉とホテルのラウンジでお茶を飲んでいると、先ほどから1人の男が人目もはばからずじっと見つめてくる。「あら、あれはアントン・デ・カセノヴェよ」姉が耳打ちした。ロシア王家の末裔で、砂漠の指導者でもあるという彼は、タブロイドを連日にぎわせる悪名高いプレイボーイだそうだ。色恋や結婚になど興味はないはずなのに、なぜか心がざわめくのを感じ、クリスは足早にラウンジをあとにした-まるで逃げるように。ところがひょんなことからホテルに戻ることになった彼女は、あろうことか、アントンとエレベーターに閉じ込められてしまう。
「BOOKデータベース」より