おぼろ月の光の下、江戸の町を着流し姿で歩く浪人、江戸兵吾。男気にあふれ腕も立つが、その身は孤高な定めに従って生きていた。時は政治が腐敗し、賄賂、汚職が横行していた天保年間。しかも財政が逼迫していた公儀では、要職の役人自らが天下のご法度、抜け荷に手を染めているという始末であった。これを聞きつけた北町奉行・遠山左衛門尉景元は、お上の威光を顧みず、一介の浪人に闇の真相究明を命ずる。天下安寧に関わる密命を帯びた、その浪人者こそ兵吾であった!悪人どもの屋敷に忍び込み、次々と手がかりを得てゆく兵吾一味-。果たして大いなる敵の恐るべき陰謀を暴き出すことはできるのか!?時代小説の巨匠、柴田錬三郎が武士の義を描く超痛快!時代小説。
「BOOKデータベース」より