3000年に及ぶ古代エジプト支配は、ファラオたちのみによって成し遂げられたわけではない。王の妻、父母、息子、娘、兄弟姉妹といった族戚たちが、それぞれに重要な役割をもち、国家統治や祭祀、外交、軍事、社会、文化等、あらゆる領域でその権力を行使してきた。王を中心とする「家」は、近親の婚姻によってその血を濃くし、世俗から隔絶され、聖性を帯びた特別な存在であり続けた。そのなかで彼らは、ときには固く共同し、ときには激しく反目し、重層的に絡み合う権力構造を生み出したのである。全王朝に関わる人物の名前と略歴を網羅しつつ、血縁関係を詳密に図示し、豊かな個性がひしめく巨大王権国家のダイナミズムを描き出す。
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